判子万歳

 学校を出て、社会人になる際に親からもらったのがハンコでした。
 黒水牛の実印・銀行印・認印の三点セット。
 認印・銀行印はすぐに役に立ちましたが、実印は長らく使うことがありませんでしたが、マンションを買うときにようやく使う機会が訪れました。

  時は経過し、現在。
 わが社でも、テレワークが推進されるようになり、会社への出勤は以前の1/5にもなりました。

  freeeという会社が行ったテレワークに関するアンケート調査*1によると、
 「テレワーク中でも出社が必要となる理由について当てはまるものをすべて選んでください」という質問に対して、
 22.2%の人が「施契約書の押印作業」、
 17.1%の人が「社内の紙による書類の申請・承認(押印やサインなど)作業」と回答しました。
 押印のために出社しなければならない人が少なくないようです。

  歴史上最も有名なハンコといえば金印でしょう。
 「漢委奴国王」の文字が刻印され、後漢(現在の中国)から贈られたという・・・
 しかし、当の中国ではハンコはあまり流行することはなく、現在も一般的に使用されているものではありません。
 欧米においても、ハンコは一般的に使用されておらず、現在、海外で、ハンコに一定の効力を認めているのは、台湾と韓国だけのようです。

  ところで、日本において、印鑑登録ということがなされていますが、印鑑登録には直接的な法律的根拠はありません。
 もっぱら、市町村の事務(地方自治法第2条第3項)の一つとして、各市町村の条例に基づいて行っていることのようです。
 その一方で、押印の法的な効力は民事訴訟法第228条4項「私文書は、本人又はその代理人の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと推定する。」等で担保されることになります。
 しかし、民事訴訟法第228条4項に記載されているように、押印が唯一というわけはなく、署名でも変わらぬ法的な効力が与えられています。

  さて、テレワークと非常に相性の悪いハンコですが、何とかしようという動きもあるようです。
  月額100円の電子印鑑*2。やりますね、シャチハタさん。

  極めつけは、日立キャピタルのサービス*3
  ここまでやるのだったら、電子サイン、電子決済でよくないかという声も聞かれますが・・・嫌いじゃないです。イグノーベル賞的このアプローチ。

*1:「freee、テレワークに関するアンケート調査を実施」https://www.fnn.jp/articles/-/35972

*2:『捺印・回覧ができるクラウド電子決裁』https://dstmp.shachihata.co.jp/

*3:『ハンコ押印ロボットを眺める。1枚2分弱かけて丁寧に押印:2019国際ロボット展』https://japanese.engadget.com/2019/12/17/1-2-2019/