ダフ屋は不正義なのか

 ダフ屋(ダフや)とは、いわゆる転売屋の一種で、乗車券、入場券や観覧券など(以下「チケット類」)を転売目的で入手し、チケット類を買えなかった人や買いたい人に法外な高額で売りつける者、または業者のこと。(Wikipediaより)
 そして、ダフ屋行為は、「特定興行入場券の不正転売の禁止等による興行入場券の適正な流通の確保に関する法律」、または、「迷惑防止条例」等により罰せられることになっている。
 
 一方で、株の売買人とは、「株の転売屋の一種で、(多くの場合)株券を転売目的で入手し、株券を売り出し価格で買えなかった人や買いたい人に法外な高額(時価)で売りつける者、または業者」のことである。
 
 そうすると、ダフ屋と株の売買人とでは、売買する対象こそ異なるものの、思惑、行為において相違するものではない。
 にもかかわらず、株の売買は奨励される一方、なぜか、ダフ屋行為は禁じられている。
 なぜこのような差異を設けているのか、私には説明ができない。
 
参考文献:ウォルター・ブロック著、橘玲(たちばなあきら)訳、「不道徳な経済学 転売屋は社会に役に立つ」、ハヤカワ文庫NF

ラングトンのアリ

 「ラングトンのアリ」と呼ばれているシミュレーションを追試してみた。
 
<「ラングトンのアリ」のルール>
 場合A:AA色のマスにやってきたら、そこをBB色に変えて、右に進む
 場合B:BB色のマスにやってきたら、そこをAA色に変えて、左に進む
 
 シミュレーションに際しては、マスを80✖80とし、アリのスタート位置を中央やや下に置き、上向きに進むことから始めることにした。
 初期状態として、全てのマスがAA色(黄色)である場合について調べた。ちなみにBB色は赤である。
 
 初期は以下のように全てAA色(黄色)であるが、
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 11,136歩後には以下のように、アリが80✖80のマス外に出てしまったので、ここで、シミュレーションを終了した。
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 途中から、斜め左下方向に直線的に歩くのであるが、それまでは動きは複雑で、さまようように歩くことがわかった。
 まるでアリが、迷った挙句、途中から意思を持って進んだようにも見える。

 これがラングトンのアリといわれるシミュレーションである。
 単純なルールでも、さまようような動きと、意思を持ったかのような動きをするのが面白い。
 
 動画もアップしましたので、こちらもどうぞ。
https://www.youtube.com/watch?v=gzQep_V2Coc&feature=youtu.be
 
参考文献:p378-383、池谷裕二『単純な脳、複雑な「私」』 (ブルーバックス講談社)、2013年9月20日第1刷発行

判子万歳

 学校を出て、社会人になる際に親からもらったのがハンコでした。
 黒水牛の実印・銀行印・認印の三点セット。
 認印・銀行印はすぐに役に立ちましたが、実印は長らく使うことがありませんでしたが、マンションを買うときにようやく使う機会が訪れました。

  時は経過し、現在。
 わが社でも、テレワークが推進されるようになり、会社への出勤は以前の1/5にもなりました。

  freeeという会社が行ったテレワークに関するアンケート調査*1によると、
 「テレワーク中でも出社が必要となる理由について当てはまるものをすべて選んでください」という質問に対して、
 22.2%の人が「施契約書の押印作業」、
 17.1%の人が「社内の紙による書類の申請・承認(押印やサインなど)作業」と回答しました。
 押印のために出社しなければならない人が少なくないようです。

  歴史上最も有名なハンコといえば金印でしょう。
 「漢委奴国王」の文字が刻印され、後漢(現在の中国)から贈られたという・・・
 しかし、当の中国ではハンコはあまり流行することはなく、現在も一般的に使用されているものではありません。
 欧米においても、ハンコは一般的に使用されておらず、現在、海外で、ハンコに一定の効力を認めているのは、台湾と韓国だけのようです。

  ところで、日本において、印鑑登録ということがなされていますが、印鑑登録には直接的な法律的根拠はありません。
 もっぱら、市町村の事務(地方自治法第2条第3項)の一つとして、各市町村の条例に基づいて行っていることのようです。
 その一方で、押印の法的な効力は民事訴訟法第228条4項「私文書は、本人又はその代理人の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと推定する。」等で担保されることになります。
 しかし、民事訴訟法第228条4項に記載されているように、押印が唯一というわけはなく、署名でも変わらぬ法的な効力が与えられています。

  さて、テレワークと非常に相性の悪いハンコですが、何とかしようという動きもあるようです。
  月額100円の電子印鑑*2。やりますね、シャチハタさん。

  極めつけは、日立キャピタルのサービス*3
  ここまでやるのだったら、電子サイン、電子決済でよくないかという声も聞かれますが・・・嫌いじゃないです。イグノーベル賞的このアプローチ。

*1:「freee、テレワークに関するアンケート調査を実施」https://www.fnn.jp/articles/-/35972

*2:『捺印・回覧ができるクラウド電子決裁』https://dstmp.shachihata.co.jp/

*3:『ハンコ押印ロボットを眺める。1枚2分弱かけて丁寧に押印:2019国際ロボット展』https://japanese.engadget.com/2019/12/17/1-2-2019/

罰など当たるはずもなし

 親が子供を叱るときに、「そんなことをしたら罰が当たるよ」などということがあります。
 「罰が当たる(ばちがあたる)」とは、「悪いことをすれば自分に返ってくる」あるいは「悪い行いに対する神仏の懲らしめを受ける。」という意味で使われます。
類似の言葉・仏教語に、「因果応報」=「人はよい行いをすればよい報いがあり、悪い行いをすれば悪い報いがあるということ。」(大慈恩寺三蔵法師伝)という言葉がありますから、「罰が当たる(ばちがあたる)」という言葉・考え方は仏教がルーツなのかもしれません。
 しかし、冷静に考えると「罰が当たる(ばちがあたる)」=「悪いことをすれば自分に返ってくる」とは、「風が吹けば桶屋が儲かる」的な、トリッキーな言葉だと思うのです。おそらく、「悪いことをしてはいけない」ということを、説明する困難さを回避するために考えられた言葉なのだろうなと思います。「悪いことをしてはいけない」ということを他人に納得させるように説明するのは、意外と難しいですから。
 ところで、罰が当たったように見える人に対して、それは以前お前(自分)が悪いことをしたから罰が当たった、という風に逆に考える人がいるのではないでしょうか。
 しかし、これは誤りなのですね(下記(注)を参照のこと)。
 (注)「AならばB」だとしても「BならばA」にはならないことに注意しいただきたい。
 「AならばB」であれば「BでないならばAでない」が正解になります。対偶ですね。
 先のケースに当てはめると、「悪いことをすれば、悪いことが自分に返ってくる」が正しいとしても、「悪いことが自分に返ってくるのであるから、きっと悪いことをしたに違いない」は正しいとは言えず、「悪いことが自分に返ってきていないのだから、悪いことはしていない」が正しいことになります。

 話は変わりますが、最近、不思議に思うことがあります。
 例えば、SNS上でウイルス感染者に非があるがごとき論調の発言があったりします。
 例えば、罹患した人が謝罪会見をしたり(させらりたりしたり)しています。
 被害者攻撃、被害者に非があることを「是」とするという考えはどこから来るのでしょうか。
 もしかすると、「罰が当たる(ばちがあたる)」を信ずる考えに近いのかも知れないとも思うのです。
 ウィルス感染に当てはめると、
 ウィルス感染した。
 ⇒それは以前お前(自分)が悪いことをしたから罰が当たったに違いない。
 ⇒すべて、お前のせいなんだよ、自業自得なんだよ。
 そんな、思考パターンで、感染者に非があるがごとき論調となっているのではないでしょうか。
 まず、「罰が当たる(ばちがあたる)」=「悪いことをすれば自分に返ってくる」には根拠はありません。
 「罰が当たる(ばちがあたる)」=「悪いことをすれば自分に返ってくる」が仮に正しいとしても、「悪いことが自分に返ってくるのであるから、きっと悪いことをしたに違いない」は正しいとはいえません。
 だから、被害者が攻撃され、謝罪しなければならない状況は馬鹿げていると思うのです。

ミジンコに癒される

水族館に行って魚たちの泳ぐ姿を見るのが好きです。

とりわけ、クラゲの泳ぐ姿は見飽きることがありません。

そして、とても癒されていることに気づくのです。

 

このような体験を自宅でもしてみたいと思い、自宅でクラゲを飼うことを考えるのですが、クラゲを飼うのは非常に難しいらしく、なかなか実現できずにいます。

 

その代わりというと、当の生物には大変失礼なのですが、ミジンコを飼うことにしました。

意外と動きも活発で、ずっと見ていて飽きることがありません。

肉眼でもよいのですが、彼・彼女の詳細な構造をも見るためには顕微鏡を使うのがよろしいようです。

 

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コロナ騒ぎが収まったら、顕微鏡動画を大画面のスクリーンに投影するミジンコバーでも始めようかしら・・・

カイミジンコに癒される

カイミジンコは貝殻を持ったミジンコです。

カイミジンコの貝殻の主成分は貝の貝殻と同じ炭酸カルシウムだそうで、そのため、カイミジンコの貝殻は化石として出土する場合があるらしいです。

発見されている最古のカイミジンコの化石は、約5億年前だということです。

生物としては人類の大先輩なのです。

 

開いた貝殻の間から出した足を掻いて泳ぎます。

泳ぎは軽快で、水槽の底を這うように「歩く」こともできます。

 

気楽そうに泳ぐ姿に、私はとても癒されるのです。

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二匹のカイミジンコが戯れています。

 

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おや、お尻のあたりに何かが付着しています。

 

拡大して見たら、ツリガネムシでした。

 

水の抵抗が増えて泳ぎにくくなっていることでしょう。

どうやら、気楽そうに見えるカイミジンコにも悩みはあるようで・・・